未経験者の未経験者による未経験者のためのフォークリフト運転技能講習記

 先日フォークリフトの資格を取ったとこちらのブログで書きましたが、フォークリフトの資格や講習の内容に興味のある方、それから今まさに資格を取ろうとしている方の参考になればと思い、私がフォークリフト運転技能講習を受けた時のことを思い出しながら書いていこうと思います。

 そもそも私がフォークリフトの資格を取ろうと思い立った理由は一言で言えば「再就職のため」なのですが、私が過去に勤めた会社では2社ともプログラマーの仕事で、失業後も求職活動は大体開発か事務関連の仕事ばかりです。当然その間、就職活動の助けになればと取得した資格は日商簿記2級やウェブデザイン検定3級と、それらに関連したものばかりです。
 それがどうしてフォークリフトの資格を取ったのかと申しますと、事務系の仕事と言っても例えば製造業や、販売業を始めとする物流系の業種だと、原料や商品を保管する倉庫を管理する仕事があるわけです。で、ある程度以上大きな倉庫なら中の物を出し入れしたり、整理するのにフォークリフトは欠かせませんから、運転できた方が断然良いに決まってます。それに、簿記とかと違って「これがないと○○できない」という類の資格で、且つ必要としている業種の幅も広いですから、就職活動にも強いというわけです。そして受講者の合格率が高いというのもありまして、11月の後半に講習のことをハローワークの窓口で聞くと、帰ってからネットで調べたり教習所でも話を聞いたりして、2日後には早速申し込みをしました。

 ちなみにフォークリフト運転技能講習は、持っている資格や経験によって講習時間が違いまして、一番受ける人が多いのは普通自動車免許を持っている人が受ける4日間(31時間)のコースで、私もそちらを受講しました。
 ちなみに大まかな時間の内訳は以下の通りです。

●学科講習
・走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識(4時間、私の場合免除)
・荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識(4時間)
・運転に必要な力学に関する知識(2時間)
・関係法令(1時間)

●実技講習
・走行の操作(20時間)
・荷役の操作(4時間)

 学科、実技それぞれの講習に試験がありまして、受からなければ補習を受けて再試験を受けなくてはならず、初めに払う受講料に加えて追加の料金を払わなくてはならない時間・金両面でのダブルパンチです。おまけに再挑戦できる回数にも限りがありますしね。

 そんなわけで1日目(11月27日)はまるまる学科講習で、最初に下の写真にもあるテキストが配られます。
画像
 結構厚さがありますけど、試験に出る所はちゃんと先生が線を引くように言ってくるのでそこを重点的に覚えれば学科試験は合格できます。
 でも甘く考えてはいけません。
 私が学科講習を受けた27日は土曜日で、普段なら平日の疲れで遅くまで寝ているのを、朝早く起きて夕方まで延々授業を聞かされるのですから(もちろん1時間ごとに休み時間はありますが)容赦なく眠気が襲ってきます。一緒に講習を受けてた人の中には授業中居眠りして起こされたのもいましたし、私自身も襲ってくる眠気をあの手この手で誤魔化しながらテキストに線を引き、懸命に頭に叩き込みました。
 で、学科講習の仕上げとして学科試験、いわゆるペーパーテストがありまして、私が受けた講習では選択問題形式で、例えば複数の選択肢の中から正しいのを選ぶ、もしくは間違っているのを選ぶという具合で、テキストの内容を思い出しながら解答を選んでいきます。
 試験時間は1時間でしたが、30分経って退室可能になると、他の人達は早々と席を立ってテストを提出し、私も少し遅れて提出、退室しました。そして全員が退室した所で試験官の先生がその場で採点を始め、全員の分が終わった所で呼び戻されて結果発表。今回の受講生16人が全員合格で無事実技講習に進めることになりました。

 さて、2日目(11月28日)からいよいよ実技講習で、16人の受講生が8人ずつA、B2つのグループに分けられ、私はBグループに入れられます。
 先生の指導の下、フォークリフトの乗車の仕方、発進前の動作、そして運転を1人ずつ交代でやっていき、待っている間も頭の中で指導内容を反芻するのですが、何しろ外ですし、待っている間も建物の中には入れませんから、昼間はともかく日が暮れると寒いんですよ。
 加えて私は自動車も普段乗ってないものだから受講生の中で上達が最も遅く、曲がる度につっかえて先生から注意を受けてしまいます。これが何とも恥ずかしいやら情けないやらで、本当に資格を取れるのだろうかと、とてつもない不安に襲われます。私以外は仕事で乗っている(本来なら違法!)から慣れているんだと聞かされても、何せ自動車免許を取った時も規定の時間を大幅にオーバーした前歴があるだけに、いくら先生から大丈夫と聞かされても楽観なんてできません。
 なので、2日目の講習が終わって帰宅後も、風呂に入る時や布団の中で講習内容を思い出し、失敗の原因とそれを改善する方法をひたすら考えてました。ええ、思いの外早く寝付けたのが不思議なくらいに。

 その甲斐あってか、3日目(11月29日)でようやく曲がるコツが掴めてきます。
 大事なのは、曲がる時に曲がる方向、例えば右折時なら右、左折時なら左のタイヤを見ながらハンドルを切ることです。
 それもまずは最初にコーナーに掛かるタイヤを重点的に見て、それがコーナーを抜けたらその次のタイヤに視線を移す──前進、バック共にこれは同じです──当然急がず慌てずゆっくり進めるのが最前提です。
 けど午前中のうちはコースの真ん中をキープしておくのが難しく、更には荷役(フォークでパレットを積取り、パレットを取りおろしていく作業。後ろの荷物を傷付けないため、積取り、取りおろしとも2段階に分けて行います)も加わって、手順を覚えたつもりが忘れてしまい、先生に注意されて思い出すことも度々ありました。
 それでも最初のタイム測定ではコースを走り終えるまでに10分近く掛かったのが、2日目の終わり近くには7分台まで短縮されて、先生からも「昨日はどうしようかと思ったが、何とかなりそうだ」と言われ、私も合格のイメージが見えかけてきます。
 私の技術と経験(いわゆる未経験者)だと、下手に急ぐよりも手順を1つ1つこなして先生に注意されないようにすることがタイムを短縮する近道のようです。
 ちなみに他の受講生の中には3分台のタイムを出した人もいましたが、実技試験はタイムレースではありませんから、他人のタイムは気にしない方が良いです、はっきり言って。

 そして最終日(11月30日)に入ると、講習はパレットの上に実技試験と同じ、重さ1トンのコンクリートが加わり、試験さながらに練習が繰り返されます。寒さに加えて不安と緊張で小便は近くなり、実際に測ったわけではありませんが心拍数もいつもより多かったと思います。それで体調は大丈夫だったのかと思うかも知れませんが、私は元々血圧が標準より少し低めなので適度に上がったらしく、加えて講習期間中は風邪など引かないようにといつもより早く寝たのもあって、むしろ普段より体調は良いくらいでした(笑)。
 しかし、最後に乗車前のチェックの手順(アドバイス:車体前方・後方から側面のチェックに移る時、通路のチェックを忘れやすいので注意しましょう)を教わり、遂に実技試験に入ると、待ち時間に不安がピークに達し、じっと待っていることもままならなくなります。何しろ試験に入る2回前の練習で、積取りの際リフトを下げてマストを引っ込めるのを忘れていきなり後進しようとする大ミスをやらかし、その焦りか直前の練習ではクランクでタイヤがコースを外れ、側にあったコーンを踏んでしまう体たらくで、とても気楽に構えてなんていられませんでした。そんな不安定な状態でしたが、ふと思い立って待機場所にあったストーブの微妙に揺れている火を見ているうちに、いくらか心が落ち着いてきます。何て言いますか、火を見ると気が紛れて心に余裕が出てくるんですね。もし冬に受講するという方で、練習や試験で落ち着かなかったら試してはいかがでしょうか?

 さて、いよいよ実技試験ですが、コースは下図の通りです。
画像
 手順1:発進後、すぐにある横道に左折して入る。
 手順2:突き当たりにある台(図にある赤い四角のこと)の上にある、荷を乗せたパレットを取り、バックして左折、元のコースに戻る。
 手順3:クランクを通ってすぐの横道に右折して入る。
 手順4:突き当たりの台の上に荷を乗せたパレットを下ろす。
 手順5:バックして左折し、そのままゴールに入る。

 採点方法は減点制で、最初に持ち点100点から始まって、チェックを忘れたり手順をミスする毎に2点、3点という具合に減点されていき、ゴールしてフォークリフトから降りた時点で70点以上残っていれば合格となります。
 とにかく大事なのは手順を忘れないことで、もしミスをしても焦ったり、後に引きずったりせず、1つ1つ手順を思い出しながら確実にこなしていくことです。私が受けた教習所では、スタートのラインを過ぎてから10分以内にゴールのラインに入れば良く(発進前と降車の手順に掛かった時間は含まれない)、よほど悩んだり詰まったりしない限り、急がなくても時間内に完走できるはずです。
 私も1つ1つ手順を思い出しながらコースを走り、荷の積み下ろしをしていきましたが、クランクの所でまたコーンを踏む音がして、つい焦ってタイヤを見ながら進めていくのを忘れていたと遅まきながらも思いつつ、気持ちを切り替えて以降の手順を進めていき、ゴールします。

 試験後、試験前のそれよりは多少ましとは言え、不安で落ち着かない待ち時間を経て結果発表となります。そして今回の受講生が全員合格と発表された時には、嬉しさと安心が混ざって、これまでの疲れが吹っ飛んだ気がしました(ええ、気がしただけだと後で思い知りました(汗))。

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 ともあれ、こちらがその後で渡された修了証の表と裏です。
 何しろ免許証や修了証の類は個人情報の固まりなので、そこら中モザイクでも安心できず黒く塗り潰してますが、こんな感じの物だということは分かって頂けるでしょうか?

 以上、私がフォークリフト運転技能講習を受けた時のことを、大雑把ながら一通り書きましたが、最後にもう2つ付け加えておきます。
 フォークリフト運転技能講習は一般的に合格率が高いと言われてますが、「受ければ取れる」という安易な気持ちで受けないようにして下さい。
 それこそ期間中、起きている時間の全てとは申しませんが、講習中はもちろん、それ以外でも少なからざる時間を講習内容や運転のことを考えるくらい、集中的にやるから(多くの人の場合)4日間で取れる資格なんだと言うことを頭に置いておくことです。
 そしてもう1つは、資格が取れてもそれで気を抜かず、運転する時は常に周囲と安全に気を配ることを忘れないで下さい。何の意味もなく学科や実技の講習でくどいくらい安全確認について指導されるわけではないのですから。

 これらの文章──特に最後の箇所が、私や読んだ人達の頭と心のメモに、消えることなく記されることを願って──

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