本田透 イマジン秘蹟 1.魔女症候群の春

 14日の日曜日、おやつ片手に本を読んでたら、うっかりコーヒーカップを倒してしまい中身が本にかかってしまいました。
 慌ててティッシュで拭きますが、コーヒーがかかったページはヨレヨレになるし、冒頭のカラーページは数カ所剥がれてしまうし、これではもし古本屋に売ることになったらろくな値が付きそうにない、と言うか買い取りの対象さえなるかどうか……まあ当面売る予定はありませんけど。それが今回紹介する本田透先生の小説「イマジン秘蹟」です。

 舞台は地球温暖化の影響で世界各地が水没の危機にさらされつつも、ほとんどの人間が危機感を持ってない近未来。
 主人公の尾津智弘は高校入学初日、槍で校舎を破壊しまくる女生徒に殺されそうになりますが、そこへ今久留主高校異端審問部、通称イマジンの女生徒3人が現れます。彼女たちは暴力、謎の物体、ほとんど呪いな感じの儀式で彼女たちが言うところの“悪魔祓い”をするのですが、本来なら忘れてしまうはずの“悪魔祓い”の顛末を智弘は何故か覚えていたことからイマジンに強引に入部させられてしまいます。
 この作品、まずキャラクターが印象的で、イマジンでは魔女症候群に発症した人を祓うと称して呪う全身黒ずくめの部長、金髪碧眼グラマラスで溢れんばかりのボキャブラリーと暴力を駆使する副部長、頭に袋を被って謎の物体入り棺桶を引きずる書記の三拍子。更には自分の部屋以外の世界を現実として認めない筋金入りの引きこもりな主人公の双子の姉や、イマジンを敵対視する風紀委員長、果ては魔女症候群に発症した少女たちなど、台詞や行動が強烈なキャラクター揃いです。
 そしてこのシリーズの重要な要素が、周囲を取り巻く現実に耐えられなくなった者が世界を変えようとして“物語”のキャラクターに憑かれてしまうという魔女症候群です。苦痛が元で異能力に覚醒するのはライトノベルやコミックでお馴染みの手法ですが、こういう仕組みは“物語”が溢れている私たちの社会でも考えさせられるものがあります。
 登場キャラクターの過去や世界の設定など、今後の展開が非常に楽しみな作品で、ネット上で紹介しているサイトが少ない割にはお勧めなので、まずは立ち読みでも良いので始めの部分を読んでみてはいかがでしょうか?

"本田透 イマジン秘蹟 1.魔女症候群の春" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント